祭りの続き

スキャナー・ダークリー (ハヤカワ文庫SF)

スキャナー・ダークリー (ハヤカワ文庫SF)

 ようやく必要に差し迫られないで本を読む時間ができたので、ディック祭りを再開。

 うむ。名作。『ヴァリス』から取りかかったのはやっぱり間違いだった。

 この作品、ネタバレは致命的なので、書きにくいが、『電気羊』もそうであるように(そして『ブレードランナー』ではその側面がかなり減殺されてしまったのだが)、自己と他者、此岸と彼岸、正気と狂気の境界のあやうさというものがみごとに示されている。それが、SF的仕掛け、道具立てに終わるのではなく、作者の痛ましい経験に基づいているからこそ、これほど不気味なのだろう。『ヴァリス』は作品そのものが彼岸に行ってしまっているので戸惑うほかないが。

 映画版はかなり原作に忠実との評がみられる。DVD出るまでおあずけ。

スキャナー・ダークリー [DVD]

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