引きこもり系英文学者

 テンション低く授業を終え、学生の来年のゼミ相談など受けて、ぐったり帰宅。学生に聞かれて改めて、所属ゼミの決定過程が奇妙であることに気づく。詳しくは省くが、要は教員の意思が反映される余地がない制度になっているのだ。来年度の私のゼミには、現在の下馬評としては希望者が相当に居るようなのだが(その下馬評によって学生が牽制しあって……という可能性もあるけど)、かといっていい学生をこちらで選ぶことは原理的にはできないらしい。うーん。

 あとは水曜を乗り切れば、今年の授業は終了。その他の業務は来週まであるけど。

 土日に中身の濃い研究会に参加したおかげもあり、授業が一段落したこともあり、「研究」に身が入る(そういえば、土曜は東京に行っている間に英文学会関西支部会の立ち上げを逃してしまった。まあ、いいか)。

 一般には文学研究者というと、浮世離れした文学作品をゆったりと鑑賞しているようなイメージかもしれないが、どうも、そうでもない。血眼になって歴史的資料を漁り、文学的な高尚さとは程遠い世俗的・物質的世界にまみれて研究を進める。

 昨日(今日か)書いた、一次資料の渉猟であるが、その方法としては(1)海外の図書館等に行って探す。(2)国内の図書館にも結構貴重な一時的資料があるので、探す。というものがあるが、その他に有効な手段として(3)古本屋を巡る、というのがある。

 巡るといっても、私はイギリスを専門とするわけで、神田を歩き回るだけではどうしようもない。ネットを使って世界中の古本屋を漁りまわるのである。

 例えば昨日「一次資料読まなきゃな」と反省した私は、早速1920年代から30年代の、中米イギリス植民地の状況を調べるべく、当時の植民省 (Colonial Office)の報告資料を家から一歩も出ることなく発見、購入した(こういうのはゴミ扱いで、かなり安かったりする)。

 今回に関しては国内に存在しない資料なので購入したが、もちろんいちいち買っていてはもたないので、いずれ足で稼ぐ必要はあるのだが、かなりの範囲はこういった方法でカヴァーできてしまう。引きこもりでもできる英文学研究。

 ちなみに、愛用しているのはこちら。業界の人なら誰でも知っていると思うけど。

http://www.abebooks.com/